野菜の大量販売は秋の風物詩。地元産にこだわる北海道のスーパー

食文化

漬物の話題では長野県を何度か紹介してきました。

漬物王国塩の道で垣間見た、漬物文化とお茶の関係
別記事でおしぼりうどんをご紹介した長野県坂城町の人口は約1万4000人。基幹産業は工業で、精密機械を作っている中小企業が多く、「石を投げれば社長に当たる」町だと言われています。 小さな町で工業が発展したのは、戦争中疎開してきた工場がそのまま...

長野の秋冬は、おやきを食べつつ漬物談義に花が咲く
長野県民の漬物愛は日本でも屈指。以前ご紹介した坂城町のところでも触れているように、それはそれは、たくさんの種類の漬物を作ります。 しかも、家ごとにこだわりがあるのはもちろん、どの地域にも漬物名人と呼ばれる方がいるようです。 そんな漬物にうる...

でも、漬物愛が溢れているのは長野県だけじゃありません。冬が厳しいところは、どこも大量の仕込みをする傾向が強く、秋のシーズンになると各地で思いもよらぬ場面に出くわすことがあるのです。

僕の中でとくに印象に残っているのは、北海道上富良野町のダイイチ(上富良野店)さんの入口(風除室=玄関フード)で見た野菜でした。

並んでいたのは大根と白菜とネギ。種類はごくごく一般的なんですが、とにかくひとつひとつがデカイ超LLサイズ! しかも、大根なら10本、白菜なら4~5個が大袋に詰められていて、無造作に置かれていたのです。

ブルーシートの上に並べられた大根や白菜たち。こんなの持てないよーと弱音を吐いていては北海道では暮らせない。冬が来る前にやることはたくさんあるわけです

首都圏の店なら、これから袋から出して売り場に並べるのかなと想像しちゃいますよね。でも、ここでは大袋のままの販売がデフォルトのようで、台車にこの野菜を乗せ、駐車場のマイカーに積み込んでいる人たちを何人も見かけました。

ここまで大量買いするのは、もちろん漬物のため。だって、店に入ってすぐのところに、「漬物用品大集合」と銘打った特設売場があり、酒粕に米ぬか、麹、砂糖に漬樽などがありましたから。これはもう、絶対に漬物作りなさいというお達しみたいなものですよね(笑)

ただ、長野県のお店と違うのは、冒頭でご紹介したように一度に購入する野菜の量が桁違いに多い。さすが北海道だと唸ってしまいました。

■上富良野といえば

ところでこのお店があるのは上富良野町でして、この町ならではの名物があるのでご紹介しておくと、サガリです!

サガリは豚の横隔膜のことでして、ハラミと同じと思ってください。上富良野は豚肉の産地として有名で、町の人はサガリが大好き。ほとんどの家庭には七輪があり、夏は外で焼肉をするのが町の人の楽しみとか。

精肉だけでなく、焼き肉用の加工品もこの地方ではバラエティ豊かです。ホルモンはいいものがすぐに手に入るし、お約束のジンギスカンもしっかり選べます。

■魚だって負けちゃいません

地元産という意味では、北海道の定番として秋鮭の売り方も注目です。目立つのは生の半身そのまんまってやつです。これを鉄板で味噌だれで焼けば「ちゃんちゃん焼き」の出来上がり。

ホッケだって丸ごと、三枚おろしなど、いろいろ選べるのが嬉しいですね。

■地元産へのこだわり

この町の人たちはとにかく富良野地方で取れたものを好みます。何より地元のものが安心だということなのでしょう。外国産に占拠されている都会のスーパーとはひと味違います。その品揃えにワクワク感が高揚しました。

なお、ここでご紹介しているダイイチさんは本社を帯広に置き、帯広、旭川地区に複数店舗を展開し、上富良野店は旭川地区の位置づけでしたが、同地区の店舗群からポツンと離れていました。そこで運営の効率化を図るため、ライバル店に譲渡売却。現在は、別の店舗(FUJI上富良野店=道北アークス)になっています。

タイトルとURLをコピーしました