鳴き声が聞こえてきそうな朝どれスルメイカの売り方と驚愕お値段

食文化

イカといえば青森県。この40年ほどで漁獲量は1/10以下に減ってしまったものの、八戸港を筆頭に、日本一の座は守っている。その青森県の地域密着型スーパーマーケット、マエダさんの協力を得て、むつ市の本店を案内していただいた。

鮮魚コーナーにズラリ並んだ海の幸は、さすが青森! と唸るほどのラインアップだった。

真っ先に目を引いたのは、スルメイカ。その売り方は豪快。県産でも少し小ぶりのものだと、大きめの発泡トレイに5ハイほど積み上げられて198円。や、安い!

唸っていると、その横には市内大畑港から水揚げされたばかりの大型20パイ入りが1ケース2980円、1パイなら180円。首都圏のスーパーで見るような中型のスルメイカだと1パイ100円。

鮮度の良さは抜群。見事なまでの茶色で、その模様が生き物のように輝きうごめいている。これなら肝もまだ硬くしっかりしているので、自家製塩辛を作ることもたやすいはず。料理好きなら「これをどう料理してやろうか」と考えるだけでニヤついてしまうだろう。

見た目の派手さでは、ホタテ貝も負けていない。下北半島産がカゴにズラッと10枚並べ、まとめて598円! 1枚なら68円になっていたが、購入する人の多くは10枚そのまま買っている。きっと皆さん、殻から剥くのもうまいのはず。

県産は他にマコガレイやタイに混じって「母ガレイ」と書かれたものもあった。地元ではナメタガレイをこう呼ぶそう。

なるほど「さしずめ母(ハハ)なるカレイ」という意味ですか? 案内役の店長さんに聞くと、「いえ、これはババガレイと読みます」。たっぷりの粘液に覆われ、見た目も美しくないことから付いた名らしい。ストレートすぎ。でも、こういう魚ほどうまいのはお約束。

ちなみに、この時期のイチオシは瓶詰のウニだった。保存料など一切使わず、殻を割ったらすぐにギッチリ詰めて保冷しながらの販売なので、消費期限は3日ほど。

これだけで3人前のウニ丼ができる。そしてお値段は1980円! 1杯あたり600円台で魅惑の丼になるわけだ。しばらくここに住もうかと真剣に考えた僕である。

マエダ本店は朝9時から営業している。かなり早い。なのに、開店と同時に結構なお客さんが押し寄せ、昼前にピークを迎える。良い品が揃っているのも理由のひとつだが、実は近隣に大きな病院があり、朝イチで診察を受けた人たちが帰りに寄るコースになっていた。高齢化社会ならではの一面でもある。

*画像は2008年撮影。価格も当時のものです。

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