飛騨高山の食文化を大切にする地元スーパーは観光客も必見

食文化

飛騨地方の食文化といえば、以前、下呂の記事で「トンチャン」や「ケイチャン」をご紹介しました。今回はもう少し北に向かい、飛騨地方の中心地と呼ばれる高山市について取り上げます。

現在の高山市は2002年、平成の大合併が進んでいるさ中、高山市、丹生川村、清見村、荘川村、宮村、久々野町、朝日村、高根村、国府町、上宝村の1市2町7村が合併したことで、面積約2177平方kmになりました。これは東京都とほぼ同じ面積になります。

これだけ広いと、地域による差があるものの、あえて共通点をあげるとしたら、日本酒の蔵が多く、漬物を好み、料理に味噌をよく使うといったことでしょうか。

飛騨といえば、朴葉みそ

さて、前置きはこのくらいにして、地元のスーパーマーケットを見ていきましょう。協力していただいたのは、地元の食文化を大切にしているファミリーストア「さとう」さんです。

こちらは飛騨らしさにこだわり、飛騨の食文化を守ることを企業理念に掲げていまして、社長さん自ら案内していただいた思い出があります。では、店の中に入っていきましょう。

■飛騨の色は何色?
飛騨地方らしいコーナーがぜひ見たい! そんな僕の要望を受けて、真っ先に案内されたのは漬物コーナーでした。うん、確かにこの地方は漬物が食卓に欠かせないと地元の保健師の方々から聞いています。でも、社長さんが見せたかったのは漬物の種類よりも「色」だったのです。

「全体的に売り場が赤いでしょ。飛騨は赤かぶ漬けを各家庭でもよく漬けるし、郷土料理としても重要な位置を占めているのです」

言われてみれば、他の地方とはまったく違います。そういえば、高山の朝市を覗いた時も、あちこちで赤い漬物を見たものです。

冬、高山の宮川朝一にて

「赤かぶが好きなので、他の漬物でも赤い方が好まれるのですよ。ほら、これなんか見てください」

社長さんが指さす2つの商品を見ると、どちらも大根漬けだが、左側は赤かぶと一緒に漬けることで鮮やかな色と独特の味わいが出て、圧倒的に売れるのはこちらなのだとか。ふーむ、赤ヘルならぬ赤かぶ軍団ですな。

■個性豊かな魚コーナー
魚コーナーも面白かった。なぜなら、その昔は飛騨の山奥で新鮮な魚など手に入りづらかっただろうに、流通の発達した現代は問題なし。見学させていただいたのが4月だったので、富山から直送されたホタルイカがたっぷり置かれていました。

関東あたりのスーパーでは、ホタルイカは兵庫産の方が早く並び、値段が安くなったころに真打の富山産が登場するケースが多いので、こちらは地の利が生きているという証拠なのでしょう。

一方、とくに日本海からの直送品が多いはずなのに、なぜかスルメイカは生じゃなくて「煮イカ」がメーンを張っていたのが不思議でした。

■肉コーナーはどっちが主役?
そしてやってきました、肉コーナー。訪れた日が半額セールの日だったらしく、まず僕の目を釘付けにしたのは「飛騨牛」が通常価格700~800円/100gだったこと。つまり、この日は350~400円/100gで売っていたわけで、思わず引き寄せられたことは言うまでもありません。

ところが、飛騨牛の誘惑に負けそうになっていると、すぐお隣から例のトンチャン、ケイチャンがおいでおいでと手招きします。種類が多くて目移りしてしまいます。どの家庭もお気に入りがあって、やっぱり高山でもこれはよく売れる商品だといいます。

■飛騨らしさ満載
脇役だけど侮れない存在だったのは、飛騨産の牛乳を主原料にした「飛騨オレンジ」や「飛騨パイン」でした。きっとこの地方だけのローカル飲料なのでしょうが、ここで育った人たちには子供の頃からの思い出のひとつなのだと思います。

そして、総菜コーナーにズラリ並んでいた「ころいも」も、気になりました。小さな芋のようです。後で調べたら、小さなジャガイモを無駄にしないよう、揚げたり茹でたりして、醤油やみりんなどで甘辛い味付けにしたものでした。きっとおやつとしてよく食べられているのだろうなと、ほっこりしました。

最後に、味噌売り場もなかなか面白いですよ。高山味噌など試してみてはいかがでしょう?

協力:ファミリーストアさとう桐生店
さとうさんではネットショップもやっています。

写真や価格は2009年撮影時のものです。

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