ある夏の日。長野県出身の方の法事に参列した際、親族の方々と共に故人を偲んでお酒をいただいた。そこに並べられていたのがミョウガやきゅうりがアクセントの、絶妙な味わいのツマミでした。すすめられるままにひと口。
「な、なんだこれは! うまいじゃないかっ」
美味しいものに目がない僕はそわそわ。「いか」の和え物っていうのはよーく分かるのだけど、未知の味でした。いつもならすぐに調理法とか聞く。でも、ここは法事の席。聞いていいものなのか、とても悩んでいた。すると親族の方が
「買ってきたもんばかりで悪いんだけどねー、これだけはちゃんと作ったから・・・」
話し掛けてきた。もちろん「これ」というのはいかの和え物のこと。もういかん、場を考えずに
「いやいや、とても美味しいですよ」
誉めると相手もニッコリ。これは長野では当たり前の塩漬けのイカ「塩(丸)いか」を使ったものなんだと教えてくれました。さすがにそれ以上の詳しいことは聞けずじまい・・・。
その後、長野方面に行くたびにスーパーマーケットで探してみると、軽井沢でも松本でも、あちこちにある。値段は1パイあたり100円台。店員さんに調理法も聞くと、
「塩抜きして季節の野菜、とくに夏のミョウガやきゅうりと合わせるのがうまいです。ただし、塩の抜きすぎは要注意」
よし、これであの味が再現できる! わくわくしながら家に持って帰ったのでありました。
ところが、実際に作ってみると、塩の抜き加減がしい。水に漬けて1時間弱、もういいだろうと思って味見したらまだしょっぱい。なので少し置いてまた味見したら、今度は完全に塩気が抜けている。結構シビアなのです。
それでも何度が挑戦し、ちょっと濃いくらいの塩加減で下準備をして、そこに野菜を合わせ、塩気をそちらに移すことでうまさが伝わることは理解できた。お酢を入れたり、ワカメを入れるのもうまいこともわかってきた。
それでも、まだ最初に食べたときのようなおいしいものはできていない。いつも何かが足りない仕上がりなのです。秘訣はどこにあるのだろう? 悩みながら随分と時間が経っている。長野に行く度に買ってくる塩イカ。いつか美味しい味に仕上げたい!
味付けに詳しい人、コツを知っている方、ぜひアドバイスよろしくです。