地元民からお勧めされたのは、大勢でわいわい突きながら食す〇〇ちゃん

食文化

仕事で初めて下呂に行った時、町の電器屋さん、マシタラジオさんに大変お世話になりました。旅行雑誌の取材だったから地元の方の情報はとてもありがたいもので、記事を書く上でかなり参考になったものです。

そんな中、名物の話になった時に力強く勧められたのが「トンチャン」でした。事前の下調べで「ケイチャン」は「鶏ちゃん」のことで、鶏の味付け肉であることは分かっていましたが、トンチャンは初耳だった僕。いったいそれ、何ですのん? 

すると、これぞ下呂を代表する食べ物であると力説されたのです。どうやら豚や牛の味付けホルモンのことらしく、下呂では春になると町内の掃除をやり、その後の宴会では定番中の定番メニューになっていると。

必ずキャベツを入れること。焼いていくと汁が出てくるから最後は残った汁にうどんをからめるのが最高。社長のFさんは恍惚の表情で熱く語るのでありました。

とてつもない説得力です。だって、この方は生粋の地元民で、消防団でも活躍しているお方なのです。何より、地元の行事に欠かせない食べ物という点がいいじゃないですか。

ならば、一度食べてみなければ! 使命感に燃えた僕は地元のスーパーマーケットで探すと、あるにはあったけれど賞味期限が短く、包装もお土産には適さない感じの簡易的なものだけでした。

仕方ない、仕事が終わったら帰り際に買おう、と思ったら、途中でとんでもない豪雪に遭遇し、スーパーに寄ることができないまま帰京したのでありました。悔しいー!

すると、ありがたいことに後に件の社長さんが送ってきてくれたのです。

さて、あらためて実物を見て思いました。袋には「ホルモン」とだけ書いてあるんですね。でも地元(下呂)では聞く人みんながこれをホルモンとは呼ばずに「とんちゃん」と呼んでました。飛騨地方では共通の呼び方だそうです。

実際に焼きに入ります。まずはホットプレートにドバッと空けます。センマイやハツなどが入ってるのが分かります。それに焼いていくとニンニクの風味がかなりしてきて、同時に水分がじゅわーっと出てきます。

「トンチャンには絶対にキャベツですからね! 好みで七味も使ってね」

助言に従いザク切りにしたやつを放り込み、ほど良いところでひと口。

ほぉー・・・。

小さいけれどホルモンに相当の弾力あります。なるほど、パクッ・・・パクッ・・・ハグハグ・・・。違和感なく食べることができます。半分ほど制覇したところで、今度はうどんを入れてさらに絡めていくと、これもなかなかイケます。ズルズルッ、んぎゅっ(ビールね)

見た目はちょいと悪いけど、味は結構癖になる。イケますです♪

ちなみに「ケイチャン」も一緒に入ってまして、こちらも臭みがなくて、どんどん入っていきます。地元ではジンギスカン鍋にオーブンペーパーを敷いて肉を焼き、そこからしたたり落ちる汁で野菜を蒸し焼きしながら食べるのが一般的だとか。だから、下呂の多くの家庭にはジンギスカン鍋があるそうな。

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