海、山、川の恵みがひとつの皿に。自由に、豪快に食すのが 皿鉢の極意

食文化

素朴で豪快、そして自由奔放な食といえば、高知の皿鉢だと思うのです。


高知市内の旅館、ホテルとか名の知れたお店で頼むと観光客仕様の豪勢なやつばかり出てきて、値段もかなり張ります。おかげで皿鉢というだけで高級料理と勘違いしちゃう人もいるけれど、大皿に土佐の味覚をどーんと盛り込んだものをいうのであって、気取って食べるものじゃないのです。


ご紹介している画像は僕の両親の故郷、大方町(現、黒潮町)の叔父宅でのひとコマ。爺さんの七回忌法要後の会食風景です。料理は地元の魚屋(漁師)さんに仕出しで頼みました。

定番のカツオのタタキ、各種の刺身など大量の皿、組物と呼ばれる揚げ物や果物、和え物などを盛りつけたものが並び、皆が小皿を持ちながらぱくぱくと口に放り込み、地元の日本酒が花を添えるのが定番です。

注目すべきは、組物に高知ならではのサバ姿寿司がどーんと乗っている点。他にも魚卵の煮付けやらうなぎ(四万十川)やらカニ、エビなども盛り込まれています。

黄色く見えているのは巻き寿司。海苔の替わりに卵焼きを使った巻き寿司で、黄色以外にオレンジ色もよく登場します。同様の巻きものである昆布寿司と一緒に出てくることが多いのです。

どちらも中身は酢飯のみに見えますよね。これが何も入っていないのに、ついもう一個・・・と手が出てしまうほど奥深い味わい。不思議だなーと思いつつ、


「何も入っていないのにおいしいね」


能天気に感想を述べてたら、叔母曰く。


「酢飯には魚のほぐし身とか入ってて、手間かかってるんだ」


後で調べたら、農林水産省のホームページに「酢ころし」という名で説明が出ていた。これはまったく知りませんでした! 奥深さに脱帽です。

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