宮崎の鶏好きは、どこまで本物なのか。地元のスーパーをじっくり踏査

食文化

九州で僕が一番楽しみにしている食は魚。福岡、熊本、大分、佐賀、長崎なら、とくに期待が高まります。アジ、サバ、タイ、イカ、アラ、クエ、エビ……。た、たまりません。

繁華街を歩いていても、豊後水道、呼子、天草、五島列島などの文字が躍るのぼりがあって、「いい魚入ってるよ」アピールが強いのです。ところが鹿児島と宮崎だと「地鶏」の文字が目立ち、魚より肉を推されることが多いのです。

とくに宮崎市の繁華街はその傾向が強く、地鶏の炭火焼の文字ばかり目立ちます。まず魚を食べたい僕は宮崎に行くといつも、さて、どこに入ろうかと悩んでしまうのでありました。でもね、別に鶏が嫌いなわけじゃないのです。

豪快な鶏の炭火焼

宮崎も鹿児島も、鶏に関して独自の規制を設け、安全管理が徹底しているので、それを推すのは理解できます。炭火焼だって、あの独特の焼きで黒くなったやつだって大好き。ほぼ生食のタタキだって、現地のスーパーで買って保冷しながら東京に持ち帰るほど好きなのです。

でも、本当に宮崎の一般の人は、魚より鶏が好きなのかなと疑っていまして、それを確かめるため、地産地消を掲げる地元スーパーの「まつの」さんにお願いして店の中を見せていただいたのです。

まずは肉売り場へ向かいます。

ここが全部鶏コーナー

あっらー、これは、すごい!

売り場全体の半分くらいを鶏が占めていました。上段には誇らしげな「日南鶏」の文字が見えます。扱っている鶏のほぼすべてが地元産のようです。他の地方のスーパーではあまり見ない、生の(解凍じゃない)「せせり肉」だって、大パックで扱っています。普段からよく使うからこの量で売られているのでしょうね。

そして、鶏の炭火焼は真空パックの袋に入ったものが精肉売り場のお隣に並び、離れた総菜売り場には、店で焼いたであろうものまで並んでいます。お土産に買って帰るのなら真空パックですが、家が近所だったら、絶対に後者のほうですよね。九州らしく、生キャベツが添えられているところもニクイです。

端にとんそくがあるのは九州らしいです

さらに、宮崎といえば、そうチキン南蛮です。店長さんの話によると、総菜にしろお弁当にしろ、これがないと商売が成立しないというほどの重要商品なのだとか。まさにトラ・トラ・トラならぬ、鶏・トリ・とりの世界なのでした。

宮崎の鶏事情はさすがでした。しかし、これだけで見学は終わりません。宮崎の郷土料理、きゅうりや豆腐を用意し、水で溶くだけで完成する「冷や汁」の素といった定番品。

意表を突かれたのが、同じく郷土料理のお菓子「いも餅」。こちらの原料はサツマイモなんですね。

そして、一番意外だったのは、総菜売り場に並んでいた巻き寿司。え、これって普通の太巻きでしょ? と思っていたら、店長さん曰く。

「レタス巻って知っていますか? 宮崎が発祥なんですよ」

僕的には普通の「サラダ巻」でしたが、宮崎ではレタス巻というのが普通で、郷土の味なのだそう。皆さん、知っていましたか?

最後に、醤油と味噌の売り場もぜひご紹介しておきましょう。これは九州ではごく当たり前の光景でして、とにかく扱っている種類が多いのです。とくに醤油は濃くて甘めが多く、味噌も麦の比率が高めです。

協力 まつの恒久店 *写真の撮影は2008年です。

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