白山市に根を張る地元スーパーは地産地消でいっぱい

食文化

マルエーさんは金沢市のお隣、白山市に本社を構えるお店です。市の面積は県全体の18%を占め、海にも面している一方、市の面積の約75%が林野。海岸部から山間部の標高差は約2700mということから、どんなものがあるのかちょっと予想がしづらいスーパーマーケットでありました。

それでも何か珍しいものがあるはずだと期待の電話をしたところ、

「いやー、ウチにはそんなに珍しい、地域性のあるようなものはないですよ」

との返事が続いていたのでした。

取材当日、店に入りまずチェックしたのは野菜売り場です。通常、スーパーマーケットの入口は野菜から始まりすからね。

すると、やっぱりありました地物野菜。前日の夜、居酒屋で食べた「金時草(きんじそう)」が並んでいます。生だとシャキシャキした食感、茹でるとヌメリが出ます。元は熊本から持ってきたそうですが、今では立派な石川県の伝統野菜の地位を得ています。

そういえば、石川県では「伝統」という言葉をよく聞きますよ。その時にセットで出てくるのは「加賀」や「百万石」でして、どれだけこの言葉が好きなんだと、ひとり突っ込みしていた僕なのでありました。

とくに加賀野菜は、京野菜と似たような言葉のニュアンスがあり、「高級品」のイメージを持ってしまうのは庶民の悲しい性でしょうか。

次は魚コーナー。ここで興味を引いたのは、やけに種類の多い「カレイ」でした。赤カレイ、口細カレイ、なめたカレイ、すガレイ。一度のこれだけの種類が並んでいるのを初めて見ました。お値段も安く、地元の方たちはこれで煮つけを作るのが好きなようです。

練り製品では「ビタミンちくわ」。地元石川県のメーカー、スギヨの製品で、昭和27年から発売しているロングセラーです。お隣、長野県で圧倒的人気を誇っているなんて情報も、同社のHPで紹介されていました。

各売り場を覗くと、マルエーさんはとくに石川県産、白山市産にこだわっているように思いました。たとえば、

能登産の天然にがりと白山の良質な伏流水で作った、豆腐工房美川(美川タンパク=本社白山市)の「堅どうふ」。

県産大豆100%、同じく白山市に本社を持つ金城納豆の「ミミちゃん」。

地元で絶大な人気を誇る「8番ラーメン」でお馴染み、八番麺工房の各種ラーメン。こちらは金沢市が本社ですが、外食部門は世界に進出しています。

ユニークなネーミングが目立っていた「直っぺ」は、金沢市に本社がある直源醤油の製品。お隣のナショナルブランドに負けず劣らずな売り場面積を誇っていました。

別記事でもご紹介したように、醤油にこだわる人が多い石川県でも人気の商品のようです。

握り寿司とアイスが大好き。醤油のこだわりが強いのはどこの人?
石川県能登半島の付け根には日本でも珍しい「なぎさドライブウェイ」があります。日本海側の宝達志水(ほうだつしみず)町と羽咋(はくい)市にまたがる全長8㎞の千里浜(ちりはま)海岸を、波打ち際ギリギリまで寄ってドライブすることができるのです。能登...

最後は総菜売り場から「押しずし」です。石川県ではハレの日にこれを食べる習慣があり、写真のような、タイ、サバ、サケなどはポピュラーな具材だと思います。ちょっと見づらいですが、商品名にあるように三段になっているので、食べ応えがありますよ。

関東ではまず見ないものばかりが並ぶ地元スーパー! ワクワクしながらその後も売り場を踏査したことは言うまでもありません。

協力:マルエー松任店
注:写真は2009年のものです。価格は参考程度にしてください。

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