あぎだのスーパーは珍しさ、意外なものの宝庫だった

食文化

秋田の食で多くの方が思い浮かべるのは、きりたんぽ、しょっつる、いぶりがっこあたりでしょうか。囲炉裏のある日本家屋が似合いそうなイメージがありますね。

今回の踏査に協力していただいたのは大館市に本部があるスーパー、ITOKU(いとく)さんです。5月初旬、春に何が出ているかを中心に見学させていただきました。

まずは入口近くの野菜コーナーから。真っ先に目についたのは、ビニールに詰められた生のジュンサイでした。秋田では4月下旬くらいから収穫期に入るので、初物ですね。もちろん、秋田が全国1位の収穫量を誇っています。

しっかり冷やして売っているのは、鮮度が命ということ。火を通す前なので鮮やかな色ではないものの、これぞ地元で食べる贅沢なのだと思います。

ジュンサイと同じく秋田が収穫量1位を誇るのが「とんぶり」です。畑のキャビアと呼ばれ、ITOKUさんの本部がある大館市は、国内で商品としてとんぶり生産を継続している唯一の生産・出荷地。

2017年にはGI(地理的表示保護制度)に「大館とんぶり」として登録されています。ちなみに新物は10月に出るので、今回見かけたのは真空パックされたものでした。

春ということで旬の山菜コーナーもありまして、いずれも県産の「山ウド」、「タラの芽」、「シドケ」など、雪深い地方だけに春の訪れを歓迎している様子が伺えます。

そして、野菜売り場の脇には「きりたんぽ」。スーパーではいくつかの食材を使ってどのような料理を作るかを想定し、そのセットになるものを近くに陳列するので、この時期は山菜入りのきりたんぽ鍋が人気だということがわかります。

また、山菜や野菜で漬物を作ることが定番なのでしょう、漬物の素売り場もかなり充実していました。中でも、もっとも秋田らしいのは「三五八」です。知っていますか?

三五八とは、秋田や山形などの地方でよく使われている漬物用調味料で、塩・米・麹をそれぞれ3:5:8の割合でできていることからついた名前。読み方は「さごはち」で、この地方の漬物には欠かせないアイテムなのです。

使い方は、これを乾燥したままの状態で容器に入れ、水を入れて漬物床にして野菜などを漬け込みます。発酵食品なので、実は魚や肉にも使えます。

日配品コーナーで最初に驚いたのは納豆コーナーでした。かなり種類が多いのです。なぜなのか店の方に聞くと、「納豆は秋田が発祥の地」とのこと。別の回でご紹介した「横手焼きそば」が名物の横手市に発祥の地碑があるそうです。

とはいえ、市内のどこが発祥の地なのかは所説あるようで、横手市では「納豆伝説をめぐる旅」なんて企画も紹介されてました。ご参考まで。

鮮魚部門で目を引いたのは、なんといってもこのエビちゃん。

象潟産のシールが誇らしげに貼ってありまして……。

え、???????。ここで悩んだ方多いでしょうね。

はい、象潟の読み方です。僕も読めませんでした。「ぞうがた?」と口に出す前に店の人に聞いたら「きさかた」でした。聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥ですね(笑)

話を本題に戻します。このエビちゃん。名前は「ガサエビ」。日本海沿岸でしか穫れないらしく、かなりレアなものらしいです。店のポップには、塩焼きが最高(皮ごと行けます)と紹介されていました。

もちろん、秋田の定番ハタハタを使った「ハタハタ寿司」もしっかり鎮座。さらにもうひとつ、秋田らしいのが「たらこ」でして、結構な種類がありました。秋田県民は塩干物が好きとは聞いていましたが、その隣には「明太子」、「筋子」、「塩鮭」も充実。これは秋田市民市場を覗いた時も、結構な品数がありました。

秋田県は県民一人当たりの食塩摂取量の平均が10.6g(2016年)とのデータがあり、全国平均の9.9gより高いのも、なんとなく察しがつくわけです。

最後は肉部門。ここで僕の目をくぎ付けにしたのは、比内地鶏……。の肉じゃなくて、ガラの方。

ブランドではあるけど、なぜガラなのか。店の方に聞くと

「きりたんぽのスープ取るんですよ、これじゃないとダメっていうお客さんが多いのです」

なるほど。本格的に作るには、この段階からこだわるわけですね。合点がいきました。ちなみに、結構豚ホルモンが多かったのも発見でありました。

他にも、珍しいものだと、「豆腐カステラ」なんてものもありました。豆腐を搾ったものに、砂糖や卵などを混ぜた焼き菓子なのです。これも立派な秋田の郷土料理になるそう。

そうそう、漬物といえば秋田は「いぶりがっこ」ですよね。これはもう、しっかり専用コーナーがありました。

そして最後に見たのは酒売り場。やっぱりというか、一升瓶がズラリ並んでいました。四合瓶じゃないところが、さすが秋田です。

画像は2009年に撮影。
協力:スーパーITOKU新国道店

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