土佐弁を聞きながら、地元ならではの買い物を楽しもう

観光・まちづくり

■ひろめ市場の由来
高知市で観光客によく知られているスポットといえば、1998年にオープンし、酒呑み天国の核になっている「ひろめ市場」です。休みはほとんどなし。中に入ると、ちょっと賑やかなフードコートに見えるけれど、昼間でもお酒片手に盛り上がっている人たちが多いのが高知らしいところです。

多くのメディアで「朝から酒が飲めて盛り上がっている」と紹介され、すっかり高知市の顔になりました(笑) これが誉め言葉なのかどうか悩ましいところですが、かつてのお殿様、山内容堂も酒好きで、山内神社の座像が盃を持っているくらいですから、やっぱり高知らしいということになるのでしょう。

ところで、なぜこの市場が「ひろめ」と名づけられたのかご存じですか? 実はこの場所、土佐藩家老、深尾弘人蕃顕(ふかおひろめしげあき)の屋敷で、姿を消した維新後も市民から「弘人屋敷」と呼ばれ、親しまれてきたことに由来します。高知で観光するなら、一度は覗いてみてください。

■300年以上続く、庶民の街路市
そして、もし訪れるのが日曜日だったら。ひろめ市場のすぐ北側、高知城からまっすぐ伸びる追手筋で開かれる「日曜市」を堪能してください。僕的には高知市内ナンバー1のおススメです。

日曜市は土佐の街路市のひとつでして、土佐藩第4代藩主、山内豊昌の時代、1690(元禄3)年に藩の政策として場所と日取りを決め、市を立てることを認めたのが始まりです。

以降、時代の流れの中で、場所や日取りを変えながら開かれてきた経緯があり、現在は高知市が管理する街路市として、日曜市のほか、

・火曜市(上町4~5丁目、約35店。水路の上に板を渡して営業する珍しい形態)
・木曜市(県庁前、約75店。高知城の真南。農産物、青果、花が主体)
・金曜市(愛宕町1丁目、約25店。JR高架下で開催。近くの愛宕町商店街と共存)

の計4カ所があり、地域に密着した商売をしています。
*ほか、私設の水曜市(百人町)やオーガニックマーケット(池)もあり。

県庁前の木曜市

■土佐の文化が見えてくる
日曜市は街路市の中で最大の規模を誇ります。いつもは片側2車線の追手筋が、片側のみ封鎖され、約1.3kmにわたり露店が設営されるのです。その数は多い時で約400! 出店者の条件は、

・高知県内に居住する生産農家、漁業者、手作り食品・手作り工芸品等製造者
・固有の店舗を有しない者
・街路市開催日に、やむを得ない事情のある場合以外は出店できる者

生鮮魚介類や生肉類は販売できない決まりがあります。2017年4月の統計では、業種別出店者割合で圧倒的に多いのが野菜(40.8%)。次いで、農産物加工(14%)、植木・花(11.2%)、果物(8.6%)と続き、第一次産業従事者が多くを占めていることが読み取れます。

■魅力的な値段と、高知ならではの品ぞろえ
露店の規模(幅)は2~4mほど。テント形式で1本の通路の両側にズラリ隙間なく並んでいます。そこをのんびり歩きながら各お店を覗いていくと、手作り感満載の商品が目立ちます。

いずれも産地直送の鮮度のよいものばかり。スーパーで見かけないものも多く、高知人が好む野菜(りゅうきゅう、四方竹、イタドリ)や果物(文旦、仏手柑、ゆず)には、地元の人たちが笑顔で手を伸ばしていることでしょう。

中には常連さんなのだろう。奥に入り、店主と一緒にお茶を飲みがら会話を楽しんでいる人もちらほら。耳を澄ませば、

「~ちゅう」
「~がよ」
「~けんど」
「~するろう」

牧野富太郎博士の朝ドラに登場するような土佐弁があちこちから聞こえるはず。そのユルさにひかれ、財布の紐も緩む。が、ご安心あれ、どの商品もスーパーで買うよりかなり安い。

■注目してほしいもの
季節を問わず、通年扱っているものでは、高知ならではの田舎寿司。早朝に買えば、そのまま朝食として。食後の散歩で見つけたなら、そのままお昼のお弁当になります。干物類も高知名物としてはずせない商品です。イワシにアジ、サバ、ウルメこんなに種類があるのかと驚くはず。

柑橘類も豊富に揃い、春ならポンカンや小夏がよい香りを放つのでフルーツ好きにはたまりません。マニアックなところでは手作りの漬物。これが発酵の力といわんばかりの香りを放ち、根強いファンがいます。ほか、いも天やパン、焼きとりにまんじゅうなど、買ったその場で食べ歩きできるものも多数あり。

日曜市なら要所に宅配の受付コーナーもあるので、段ボール箱いっぱいの果物など、大量に送っている人の姿もよく見かけます。土日にかけて高知に行く機会があれば、ぜひ早起きして歩いてみませんか。

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