仙台名物の牛タンは、地元の人たちも食べているのだろうか?

食文化

不思議だったのです。なぜ仙台が牛タンなのか。

いろいろ調べると、有力なのはある料理人が試行錯誤して、牛タンを焼くという料理にたどり着いたとか。宮城県は全国でそれなりに牛の飼養頭数も上位にいるけれど、それが理由じゃなくて、おいしい食べ方を考案した人がいたってことが重要だったわけですね。

でも、いくら名物といっても、観光客向けで地元の人がそれほど食べていない例がよくあるわけで…(以下、大人の事情で自粛)。 

疑問を解決するため、福島県を中心に、宮城県、山形県、栃木県、茨城県の5県に広く店舗展開しているヨークベニマルさんにお願いし、仙台市内の店を見せていただきました。

早速肉売り場へGO! グイグイと近づきます。この時のワクワクはたまりません(笑) そして、売り場を見た瞬間思いました。

「あら、本当だ」

牛タンコーナーの幅が広く、1m以上あります。他県ではなかなか見ない光景です。さすがに扱う産地はアメリカやオーストラリアが多かったものの、これだけの量を揃えているということは、しっかり売れているということです。疑ってすみませんでした。心の中で土下座です。

牛タンのお隣には通常の肉も焼肉用の牛肉も結構充実しています。興味深く見ていると、牛タン並の売り場面積を誇っていたのが、「マルニ ホルモン」というコーナーでした。これが結構安くて、種類も豊富。試食販売もしています。地元では人気の商品のようです。

後で調べたところ、製造元はマルニ食品さん。1965年、地元仙台に誕生した会社で、創業当時から味自慢ホルモン焼シリーズを出しているとか。これだけのコーナーを持っているということは、仙台の方々の焼肉風景は、牛タンにホルモンが定番なのかなと推察できますね。

魚売り場も見てみましょう。ここで目についたのは、4月という時期もあるのでしょう、これからが旬の県内産「殻付きのほや」の存在感です。

同じ売り場にはすぐに食べられるむき身もパック詰めされて売っているのですが、お客さんの多くは、殻付きに引き寄せられていました。食べ慣れているからこそ、新鮮な殻付きを選ぶというのが理由のようです。

つまり、ほやの下処理くらいは家庭でできるということ。このあたりも地域の食文化です。きっと、家庭ではこんな感じにして出して、晩酌のお供になるのでしょうね。

仙台らしさをさらに求めて次に向かったのは、味噌コーナー。こちらは結構な確率で地域性が出るものです。もちろん、期待にたがわずありました。そう、仙台味噌! 米を原料にした辛口の赤味噌ですね。さすがに種類が多く、大きな4㎏入りのものまでありました。

さらに、味噌汁の具といえば、この地方で愛されているのが「麩」。まめ麩、たまご麩、七色麩、あわ麩、小町麩、あわ雪麩など、珍しいもののがズラリ。

その中でとくに目立っていたのは、大きな「仙台麩」でして、こちらは味噌汁より煮物や卵とじにして丼の具にするのも人気です。

仙台からは少し離れますが、同じ県内の白石名物の「温麺」も結構な品揃えでした。これは短いそうめんとでもいいましょうか、茹で時間が短く、油を使っていない麺なので、あっさり、スルスルと入っていきます。

念のため、温麺は「うーめん」と読みます。もし、本場の味を堪能したいのなら、県南のJR白石駅の周辺に、おいしく食べさせてくれるお店が多数ありますよ。

写真は2009年撮影時。
協力:ヨークベニマル南吉成店

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